内科医に聞く、こころとからだを整える方法【その2】
内科医としてご活躍されている、まりさん (仮名) へのインタビュー、前回の続きになります。 前回は内科医を目指されたきっかけや、お仕事で大切されている事についてお伺いしました。今回は健康のカギや、健康の大敵であるストレスの驚くべき事実などにもお伺いしました。
まりさんのブログについて
ゆき:「こころとからだの Happy Days」というブログをお書きになっているのですね。
こころとからだを整えて本当の意味での健康を手にいれることを目標にしたブログということですが、こちらのブログを始められたきっかけについて教えていただけますか?
まり:日々患者さんたちと接している中で、薬を中心とした治療だけではなく、薬だけに頼らない医療をもっと進められたらいいのにという思いを持つようになりました。でも、それを日々の病院での診療だけではなかなか実践しにくいというのが実情です。その気持ちをご相談した時、ブログを使って伝えていく方法もあるとコーチからアドバイスいただいたのがきっかけです。
ゆき:そのアドバイスからすぐにブログを開設されたのですね。素晴らしい行動力だなと思いました。ブログを始めてみてどうですか?
まり:思っていることを文章に起こすことは思った以上に大変だと思いました。どうやったらもっと興味を持っていただけるか、もっとこれから工夫していきたいと思っています。
また、続けていくということが一番難しいなと思いました。なかなか書けない時もあるので。
ゆき:予防医学とか、血管年齢の測定とか、とても興味深いトピックを扱っていらっしゃいますね。これからもっと記事と読者も増やしていかれるのを、応援しています。 ブログ以外でも予防医学の認知を広げていく活動は予定していらっしゃいますか?
まり:なにか小規模な市民講座のようなものからスタートして、講演やセミナーなどもできたらいいなと思っています。
ゆき:素晴らしい。開催されたら参加したいです。
健康のカギは何か?
ゆき:健康をわかりやすく表現するとしたら、どんな言葉になると思われますか? 例えば、「食事8、運動2」とか。
まり:予防は「腸内環境と血液」で表現できるように思います。まだ勉強中なのですが。
ゆき:つまりどういうことでしょうか?
まり:腸内の環境が悪いと病気を発症する確率が高くなることがわかっています。腸内環境が悪いと、栄養が吸収されなくなってしまいます。腸管から吸収された栄養が血液に回るので、栄養が壊されていると血液の質が維持できなくなってしまいます。最近では、ファーストフードなどの毒素によって破壊されることがわかっています。
ゆき:え、ファーストフードは毒素で、腸内細菌を殺してしまうのですか!? 他にどんな毒素があるんですか?
まり:ファーストフードの他に、電磁波、大気汚染、喫煙、食品添加物などです。
ゆき:それらが体に良くないとはわかっていましたが、腸内環境に影響する毒素だからだったのですね。
まり:はい。ストレスホルモンや、ネガティブな感情も毒素になってしまうんです。先日聞いた話ですが、キングコブラの毒より、ネガティブな感情の方が毒素としては強いらしいんです。
ゆき:わ、ネガティブな感情ってそんなに猛毒なんですか!?
まり:びっくりですよね! 他にも最近驚いたことがありまして。1995年の WHO (世界保健機構) の発表によりますと、がん疾患の 60〜80%の発生原因は、体内に蓄積した有害物質だといういうことです。
ゆき:そうなんですか。知りませんでした。しかし、私が知らないならまだしも、医学部でそういう事は授業でやらないんですかね?、と思っちゃうんですが、ぶしつけな質問ですみません。
まり:日本の医学部は体系的な医療はほとんど教えないのです。なので、WHOの発表などは授業では出てこなかったです。予防医学は公衆衛生の分野なのですが、公衆衛生は試験対策に少しやるくらいで、あまり勉強する機会がないままになりがちです。予防医学と銘打った授業はほとんどないので、そこに興味を持つ学生もあまりいないというのが現状です。
栄養学っていうのもやらないですしね。
ゆき:そうなんですか。ストレスの影響とかも医学部の勉強ではあまり登場しないのですね。
まり:そう思います。ストレスは血管に影響を与え、それで血管年齢が上がってしまい、血管年齢が60歳を超えると血管が寿命を迎えてしまうのですが。
ゆき:むむ、ストレス、おそるべし・・・。
まり:心と体は繋がっているのですが、心と体が分断された形で医者の教育を受ける形になりがちなのが現状です。でも実際は、心の状態が体に影響し、体の状態が心にも影響するので、どちらか片方を治そう、ではなくて両方を良くしていくことが大切です。
ストレスを測定して数値で見るには
ゆき:ストレスといえば、まりさんがブログでご紹介されていらした、ストレスを数値で示せる機器のお話、興味深かったです。ストレスを数値で測定できる場所は日本ではまだ限られていますか?
まり:医療機関で測定できるところもあるみたいですけど、だいたい10,000円くらいかかってしまう場合もあるみたいです。でも、これからセルフ・メディケーションの時代に入っていきますので、普及は進むと思います。韓国では会社の福利厚生として一人に一個機器を配っている会社もあるようです。それで個人個人で測定しているようです。他にアジア圏ですと、インドネシアの行政も取り入れているようです。
ゆき:ストレスケアでは日本は遅れているということですか。
まり:日本は残念ながら予防医学では遅れを取ってしまっていると思います。また、日本では自分の健康に興味がない人が多いです。病気になった時、それを自分の責任というふうに捉えず、自分ではない何かのせいで病気になってしまったと考えがちです。病気になったら「先生にお任せします」という感じになってしまう傾向があるんです。
ゆき:ああ、それはよく感じます。自分の健康なのに・・・。なぜなのでしょうかね?
まり:一つには、健康を自分の責任と考える教育を受ける機会がなかったというのがあると思います。健康とは、を考える授業は少なくとも私達の世代まではなかったですし。
ゆき:そうですね。自分の健康は後回しで仕事を優先している働き盛りが多い気がしますね、特に日本は。そんな忙しいビジネスマン、ビジネスウーマンにアドバイスがあったらお願いします。
まり:健康ってなんだろうと考える時間、自分の体と向き合う時間を持ってほしいと思います。オーバーワークのビジネスマン、ビジネスウーマンが多く、外に耳を向けるのに忙しくて、自分の心は体の声が聞こえていないことが多いと思います。ついに体が悲鳴をあげるまで気づかないのです。体の悲鳴とは、病気の症状として出て来ることです。その時になって初めて体のメッセージを聞くことになってしまうので・・・
ゆき:その前に、症状が出る前に、体の声をよく聞こうということですね。
まり:はい。
次回に続きます。次回は、「がんは撲滅できるか?」という質問にもお答えいただきます!